ネガティブ感情との向き合い方

ネガティブ感情との向き合い方

By |2017-06-09T01:27:09+00:002015-10-04|Tags: |

自分を苦しめるものに、ネガティブな感情があります。ネガティブな感情は不安を呼び起こし、不快な気持ちにさせて自分を苦しめます。私自身もそうでした。しかし、私はあるときから、ネガティブな感情の対処法に気がつくことになりました。

ネガティブな感情の特徴は、それを自分が認識して、「嫌だな」「困ったな」と感じ、除去しようとしたり、見て見ぬふりをしようとしたりするときにこそ、強い力を発揮するということです。そういう態度でネガティブな感情に接していると、ネガティブな感情は潜在意識に潜り込んでいきます。そして、それがいつまでもじわじわと自分を苦しめていくことになります。長ければ、10年、20年と潜在意識の中に居座り続けることになる。

では、どうして潜在意識に潜り込んでしまったのかといえば、それをないものにしよう、見たくないものだ、と自分で思ったからです。ネガティブな感情と向き合わず、戦おうとしたり、そこから逃げようとしてしまったがために、潜在意識に逃げ込んでしまうのです。

もしネガティブな感情がわき上がってきたなら、それを自分で認め、客観視して向き合って、居場所を与えてあげることです。言ってみれば、表舞台に引っ張り出すのです。潜在意識に潜り込む前に、顕在意識にさらしてしまうのです。

実は、ネガティブな感情は、居場所を与えられ、表に出されると、極めて居心地が悪くなる性質を持っています。こうなると、自ら逃げていくのです。見て見ぬふりをしたり、それをできるだけ見たくないと思ったりすることこそ、ネガティブな感情には一番居心地がいい。それが彼らの習性なのです。

ならば、その習性をしっかり理解して、きちんと真正面から向き合ってやれば、ネガティブな感情は逃げていくことになります。どうするのかというと、例えば嫉妬でも、焦りでも、妬みでも、なんでもいいのですが、それを感じたときに、まず、ネガティブな感情を明示的に自覚することです。できるなら、言葉に出してみると良いでしょう。

ああ、今、自分は焦りを感じているな、不安を感じているな、嫉妬を感じたな、妬みを感じたな、と自覚する。そして声に出してみる。それは、ネガティブな感情をまさに自分で認めていることに他ならない。そうすると、ネガティブな感情は居心地の悪さを感じ、その場から去っていきます。

ネガティブな感情がわき出てきたとき、それを見て見ぬふりをすることは、その瞬間は楽でありますが、しかし、それでは彼らはまったく逃げることはしません。それどころか、潜在意識の中に住み着いて、中長期的に徐々に自分の心をむしばんでいくのです。一方、その存在を認め、真正面から向き合うことは、瞬間的には辛いことかもしれませんが、そうすることで、永遠にネガティブな感情からは解放されることになります。

心がけるべきは、ネガティブな感情に気づいたら、見て見ぬふりをせず、張り合おうとせず、その存在を素直に認め、居場所を与えることです。包み込む姿勢は全ての感情を浄化させるのです。


この記事を書いた人

John Kim
日本に国費留学。ハーバード大学、オックスフォード大学などでの客員研究員を経て、2004年から約10年間、慶應義塾大学の特任准教授を歴任。2013年からはパリ・バルセロナ・フィレンツェ・ウィーンに拠点を移し、執筆中心の生活を送っている。